僕はEOS R1を使って約1年が経ちまして、プロレスの写真を100万枚以上撮影してきたんですが、ようやく自分の思い通りの写真を表現できるようになりました。
撮影したプロレスの写真をXに投稿していく中で、選手ご本人に喜んでいただけたり、選手のSNSでシェアしてもらったり。
時にはポートレート写真として使っていただける機会にも恵まれて、R1で撮影を続けてきて良かったなと思っています。
プロレスの写真を本格的に始めてから今まで、どうすれば推しのプロレスラーを美しく写真に残せるか、それだけを考えて試行錯誤を繰り返してきました。
今もまだ試行錯誤を続けていますが、この1年でようやく自分なりにEOS R1を使ったプロレス撮影のワークフローが確立できたかなと思っています。
今回は、プロレス撮影で使っているEOS R1の使い方や撮影機材、データ管理の方法をご紹介したいと思います。
これからプロレス撮影を始める方はもちろん、自分の思い通りのプロレス写真を撮影したいと思っている方の参考になれば嬉しいです。
EOS R1:100万枚撮影してわかった真実と設定
まず最初に、僕のメインカメラであるEOS R1について簡単に説明しておきたいと思います。
このカメラは、キヤノンがプロのスポーツや報道の現場向けに、持てる技術のすべてを注ぎ込んで開発した2026年時点でのフラッグシップ機になります。
R1の特徴圧倒的なオートフォーカス機能や連写スピード、そして過酷な現場に耐える信頼性を備えた、まさに最高峰のプロ用マシンです。
まずは実際にEOS R1を、プロレス会場で「100万枚以上」撮影してわかったことを5つお話ししたいと思います。
高感度耐性
1つ目は、R1の「高感度耐性」です。
プロレスの会場は、照明の暗い会場が多いんですけども、特に体育館のような場所は、照明が暗くてISO感度をかなり上げて撮影しないといけないケースが多いです。
R1の有効画素数は「2420万画素」で、R5 Mark Ⅱの4500万画素より低いのですが、連写を多用するプロレスの写真撮影はむしろ「2420万画素」が良いと考えています。
R5 Mark Ⅱ は、スタジオや風景などの、スナップ撮影には最適ですが、プロレス会場のような暗い場所での撮影になると、ISO感度を上げたときにどうしても写真が荒くなってしまいます。
一方、R1は、高感度ノイズの強さや、暗い場所でのオートフォーカス性能について、R5 Mark Ⅱよりも優れていて、プロレスの写真撮影に関しては、EOS R1の方が有利かなと思います。
暗い会場でも、ノイズに埋もれずに、推しの選手の肌の質感や表情のディテールが綺麗に残る。この安心感は、高画素機には真似できないR1の大きな強みです。
連写の持続力とリカバリー
2つ目は、「連写の持続力とリカバリー」です。
EOS R1は秒間40コマの高速連写が可能ですが、ここで注目していただきたいのはその「中身」です。
超高速でシャッターを切り続けると、どうしても一時的にカメラ内部のデータ処理が追いつかなくなる「バッファ詰まり」という現象が課題になります。
しかし、R1には新開発の映像エンジン「DIGIC Accelerator(デジックアクセラレータ)」が搭載されており、この情報処理能力が桁違いに優秀なんです。
膨大なデータを瞬時にさばいてくれるため、連写したあとの復帰・リカバリーがとにかく速いのが最大の特徴です。
これによって、「メインイベントの勝負どころでシャッターが切れない!」なんていう悲劇とは無縁になり、決定的瞬間を最後まで逃さず追い続けることができます。
バッテリー持ち
3つ目は、「バッテリー持ち」です。
ミラーレス一眼、特に連写を多用するスポーツ撮影では、バッテリー持ちが心配になります。
例えば、何世代も前のカメラや、小さいバッテリーを使う機種だと、約2時間前後のプロレスの興行では、途中で「バッテリーの残量大丈夫かな…」とヒヤヒヤして、試合途中でバッテリーを交換する作業が必要だったりします。
ですが、R1は大型のバッテリーを採用していることもあって、全試合を通して連写で撮影しまくってもだいたいバッテリー1本で十分持ちます。
AF(オートフォーカス)性能
4つ目は、「AF(オートフォーカス)性能」です。
ここが一番、他のカメラとの差を実感できるポイントかもしれません。
リング上を激しく動き回る推しの選手をファインダーで追っているとき、推しの選手の手前をレフェリーや他の選手が横切ることってよくありますよね。
一般的なカメラのオートフォーカスだと、手前に障害物が来た瞬間にピントが迷ったり、急に現れたレフェリーや他の選手にピントがズレることがあります。
ですがR1は、登録した被写体を優先して追い続ける機能や、障害物を無視することができるので、他の人が横切ってもピントを外しません。
空中技や、予測不能な場外への飛び技でもピンボケしないので、撮影者はピントの心配を一切せず、フレーミングだけに集中できる。
この「カメラに100%任せられる安心感」は、フラッグシップであるR1だけの特権です。
CFexpress Type Bの2スロット構成
5つ目は、「CFexpress Type Bの2スロット構成」です。これ、地味に思うかもしれませんが、かなり重要なポイントです。
カメラによっては「CFexpressとSDカードのデュアルスロット」という機種も多いですよね。
一見便利そうですが、実はそれだと、2枚同時に記録したときに、書き込み速度が遅いSDカード側にカメラの連写性能が引っ張られてしまうというデメリットがあります。
その点、R1は両方とも超高速なCFexpress Type Bのスロット。2枚同時に書き込んでもスピードが落ちません。
その他にも、長時間の興行全体を撮影する場合、片方のカード容量が一杯になっても、自動的にもう1枚のカードへ記録が引き継がれる「リレー記録」も活用できます。
もし 1枚目のカードの容量を使い切ってしまっても、シームレスに2枚目のカードに書き込みを切り替えてくれるので、長丁場の興行でも撮影スピードを落とさずに、最後の勝負決着の瞬間まで全力で攻めきることができます。
僕は現在「リレー記録」を使い、合計約1TBのメモリーにプロレス写真を記録しています。ビッグマッチでも1TBあれば、容量的に困ることはありません。
100万枚で辿り着いた、EOS R1のガチ設定
ここで、僕が普段プロレスの現場で実際に使用している、具体的なカメラ設定をすべてシェアしておきたいと思います。かなり実践的な内容になっています。
シャッター方式
まず、シャッター方式は「電子シャッター」を選択しています。
最初はメカシャッターを使っていましたが、R1の電子シャッターはローリングシャッター歪みが全く気にならないレベルなので、最大性能を引き出すために電子シャッター一択です。
最初はメカシャッターを使っていましたが、1大会で約5万枚も撮影するので、メカシャッターの寿命を考慮して電子シャッターへ変更しました。
ドライブモード
ドライブモードは当然、最高速の「高速連続撮影+(秒間40コマ)」。この「わずか1コマの違い」の中に、選手が見せる最高の表情や感情が隠れています。
シャッタースピード
そして、シャッタースピードは、シーンや選手の動きの激しさに合わせて、3つの基準を状況に応じて柔軟に切り替えています。
- 入場時や選手コールのシーン:1/200秒〜1/500秒
激しい動きが少なく、派手な入場演出の光や、選手の入場時の表情をじっくり捉えたい場面です。シャッタースピードを少し抑えることで、ISO感度を無駄に上げず、R1の持つ美しい階調表現と極上のノイズ耐性を最大限に活かすことができます。 - グラウンド攻防など、比較的ゆっくりとした動き:1/500秒〜1/800秒
じっくりとした技の掛け合いや、関節技の緊迫した表情、リング上でのストーリーを狙う場面です。被写体ブレを抑えつつも、会場の空気感をしっかりと写真に残す絶妙なバランスがこの領域になります。 - リング上のスピーディーな動きや空中技:1/1000秒〜1/1250秒
ハイスピードなロープワークや一瞬で決まる空中技、予測不能な場外への飛び技など、一瞬のブレも許されない勝負どころです。ここではR1の秒間40コマの超高速連写と組み合わせ、1/1250秒を基本にバシッと時間を止めて、選手の感情が爆発する瞬間を完璧に切り取ります。
以前の機材では、設定変更を意識しすぎるあまり、急な動きに対応できず微妙なピンボケを起こす心配もありました。
しかし、R1の異次元のAF性能と爆速のレスポンスを100%信頼しているからこそ、今はこのように現場で瞬時にシャッタースピードを切り替える、心の余裕を持った撮影スタイルに進化させることができました。
画質・露出設定
その他の細かな画質・露出設定は以下の通りです。
- 画像サイズ: データ容量と現像の柔軟性のバランスを取って「CRAW(シーロウ)」
- ISO感度: 露出は基本カメラに任せつつ、「オート(上限12800)」に制限してノイズをコントロール。
体育館など極端に暗い会場は「オート(上限25600)」に設定しています。
- フリッカーレス撮影: 体育館などのフリッカー対策として「オン」
高周波フリッカーレス撮影は「オフ」にしています。オンにすると、シャッタースピードの変更数値が細かすぎて、瞬時に変更しづらくなるためです。例えば、シャッタースピード 1/1000を1/500に変更するだけでも、設定のダイヤルを何度も回さないと変更できなくなります。
- 測光モード・WB: 「評価測光」に、色転びを防ぐ「オートホワイトバランス(ホワイト優先)」の組み合わせ
- ピクチャースタイル: 現像時の再現性を高めるため、最もニュートラルな「忠実設定」
そして、プロレス撮影において最も肝となるのが「AF周りの設定」です。 - AF動作・エリア: 狙った選手に一撃で合わせるため、基本は「1点AF」
全域AFにすると、リング上で激しく動き回るレフェリーや、多くの選手が入り乱れるため、ピントがズレやすくなります。個人的には1点AFがおすすめ。
- 被写体検出: 検出対象は「人物」、瞳検出は「自動」
- 登録人物優先: あらかじめカード内の画像から特定の選手を登録しておくことで、混戦模様のリング上でも狙った選手をカメラが最優先で追い続けてくれます。
推しの選手だけを撮影する場合、推しの選手だけを登録して、他の選手は敢えて登録しないほうがAF精度を上げられるかもしれません。
- サーボAF特性: ここが隠れたポイントなのですが、僕は「Caseスペシャル(ネット越しの撮影に適したサーボAF)」を使用しています。
この「Caseスペシャル」に設定しておくことで、プロレス撮影の最大の敵である「手前のロープ」や「セコンド」「横切るレフェリー」といった障害物にピントを引っ張られることなく、奥にいるお目当ての選手へビシッとピントを食いつかせ続けることができると思っています。
「Caseスペシャル」は、バレーボール、サッカー、バトミントンなどの比較的細いネット越しを想定した撮影モードなので、プロレスのような大きなロープに関して、どれほど効果があるのか正確には検証できていませんが、個人的にはこのモードでの支障は出ていないので、そのまま使っています。将来的に設定を変更することがあるかもしれません。
レンズ
続いてレンズですが、私のメインレンズは「RF70-200mm F2.8 L IS USM Z」です。
基本的には、この1本があればリング上のすべてのドラマをカバーできます。インナーズームで取り回しも良く、プロレス撮影における最強の相棒です。
ただし、会場が広くてリングから座席が遠くなってしまうビッグマッチの時だけは、エクステンダーの「RF2X」を装着して焦点距離を補っています。この2パターンだけで、私の撮影は完結しています。
メモリーカード
超高速連写を支えるメモリーカードですが、R1のCFexpress Type Bの2スロットに対して、私はNextorage の「CFexpress 4.0 TypeB B2 Pro」を使用しています。
容量は、メインに660GB、サブに330GBの2枚挿しです。
合計で約1TBの容量を確保しておくことで、長丁場のビッグマッチでも、最後まで容量不足や書き込み遅延を気にすることなく、高速連写で戦い抜くことができます。
現像環境
撮影したあとの現像環境についてなんですが、現像ソフトは「Lightroom Classic」。
それを動かすパソコンは、MacBook ProのM5 Max、メモリ128GBのモデルを使っています。
「なぜここまでのスペックが必要なのか?」というと、僕の場合は写真の現像だけでなく、YouTubeの動画編集もこれ1台で両立させるためです。特にLightroomの「AIノイズ除去」をかけるとき、このスペックが真価を発揮します。
MacBook Airのような軽量マシンだと地味に時間がかかってしまう処理も、この環境ならMacBook Airの半分くらいの時間で終わるため、作業時間を大幅に短縮できます。
さらに、外付けSSDとして「ProGrade Digital(プログレードデジタル)のSSD PG10.5 Pro Mini 4TB」を2台体制で運用しています。
1台は「Lightroomのカタログ専用」、もう1台は「直近数試合分の写真データ用」として完全に役割を分けています。この構成にすることで、外出先や遠征先のホテルでも、自宅と全く同じ爆速な編集環境を作ることができます。
そして、直近用SSDの空き容量が少なくなってきたら、データを自宅のNASへとどんどん移行していく流れです。
データ管理
そのデータの移行先であり、私の写真資産の要となっているのが「Synology(シノロジー)のNAS」です。
現在は、合計で100TB前後の写真データを保存できる大容量のプールを構築しています。
このNAS運用の素晴らしいところは、自宅だけでなく、遠征先や外出先からでもネットワーク経由で過去のRAWデータにアクセスし、その場で現像ができる点です。
さらに、写真データのやりとりにも大活躍しています。NASから共有用のURLを発行し、パスワードをかけて安全に、そしてスマートに写真を納品することができる。このデータ管理術のおかげで、100万枚という膨大なデータも迷子にならずに運用できています。
R1の導入メリットとデメリット
ここまで、僕の現在の撮影環境のすべてをお話ししてきました。
ただ、これからプロレス撮影を始めたい方や、機材のステップアップを考えている方に向けて、現実的なハードルについてもお話ししておかなければなりません。
それは、「初期コストの異常な高さ」です。
昨今の情勢もあり、カメラ本体、レンズ、メモリーカード、さらにはPCやSSD、ハードディスクに至るまで、あらゆる機材が値上がりしています。すべてを理想のスペックで揃えようとすると、とんでもない金額になってしまいます。
そのため、初期コストを抑えようとして機材のスペックを妥協してしまい、いざ会場で撮影したときに「思ったような絵が撮れない…」と悩んでしまうケースも少なくありません。実は僕も、R1を使う前はR6 Mark IIを使っていました。まさにその状況だったんです。
プロレス撮影は、暗い会場で、激しく不規則に動く選手を捉えるという、カメラにとっても最も過酷なジャンルのひとつです。
だからこそ、機材を妥協すると「ピントが合わない」「ノイズで表情が潰れる」「バッファが詰まって技の瞬間が撮れない」という壁にぶち当たり、機材の限界が、そのまま自分の写真の限界になりやすいという難しさがあります。
だからこそ、僕はこれから本気でプロレスやスポーツを撮りたい方に、最初からキヤノンの最高峰である「EOS R1」を強くおすすめしたいんです。
確かに価格は高いです。でも、R1ならカメラが100%完璧に仕事をこなしてくれます。ピント合わせやバッファ、バッテリーの心配から完全に解放されます。撮影者がやるべきことは、ただ「選手の表情と感情を追いかけること」だけ。
あれこれ機材選びに迷ったり、何度も買い替えを繰り返して遠回りをするくらいなら、最初からR1という「最高の答え」を手に入れて、撮影の成功体験を積み重ねていく方が、結果としてコストパフォーマンスも,打率も一番高くなります。
まとめ
本格的にプロレス撮影を始めて100万枚。
僕がこの高価なR1を選び、それに合わせた爆速の現像・データ管理ワークフローを構築してきたのは、すべて「現場での打率を上げ、撮影を楽しむ心の余裕を生み出すため」でした。
機材に対する不安が一切ないからこそ、リングの上で繰り広げられる熱量や、選手の美しい感情の動きに、自分のパッションを100%シンクロさせてシャッターを切ることができます。
自分が感動したあの瞬間を、そのままの空気感で写真に残せる。そして、それを選手やファンの方と共有して喜んでもらえる。これ以上の喜びはありません。
今回ご紹介した僕の環境は、100万枚の失敗と試行錯誤の末に辿り着いた、現時点でのひとつの「答え」です。
皆さんも、ご自身の予算やスタイルに合わせて、ぜひ「カメラを信じてフレーミングに集中できる環境」を作ってみてください。その選択肢の筆頭として、EOS R1は間違いなくあなたを裏切らない最高の相棒になってくれるはずです。




